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Produced by MARI FUJITA
カサブランカからマラケシュ行きの列車に乗って楽しみなこと、それは、マラケシュに近づくと、アトラスの雪山が見えてくる事である。それは、かなりの高さをもって、うねるような赤い大地のはるか高方に不意に現れてくる。列車は真南に向かっているはずだというのに、確実にサハラ砂漠に向かっているはずだというのに・・・初めてその姿を見つけた時の感動は今も忘れない。アトラス山脈は、北アフリカ最高峰ツブカル山などを擁する4000M級の高峰として、サハラ砂漠との間にその姿を長々と横たえている。地中海からの湿潤な空気はここで一旦、雪になって山脈にとどまり、また溶けてはモロッコの大地を深く潤す。乾期の夏場など、マラケシュでは半年もほとんど雨が降らない事も特に珍しいことではなく、冬に買った傘はどんどん干からびていったが、なぜか断水した事もなければ、野菜や果物の値段が高騰したという事もない。今に水道がとまるのでは?とびくびくして笑われた灼熱の真夏を思い出すが、これもみんな、アトラス山脈の懐の深さのおかげなのだ、と思うと、夕日を受けて金色に光る雪を頂いた堂々たる姿にもほれぼれする。この向こうに不毛のサハラ砂漠があるとはとても思えない。街から山が見えると何故かほっとする、というのは別に日本人だからという訳でもないようだ。しかし、これも5月まで。いくら高峰といえども、迫り来る夏の強烈な日差しに、雪も年貢の納め時、大地に還るときが来たようだ。季節の変わり目のラジャージュ(砂嵐)や大雨が来るたびに、アトラス山脈には雲がかかる事が多くなり、だんだんと黒い肌を見せ始め、やがては、マラケシュ市内からは、かすんでほとんど見えなくなってしまう。マラケシュのメディナを囲む城壁の南の果てまで自転車を飛ばして、アトラスの雪山を見に行ってみた。ヤシの木と雪山が同じ日差しを静かに受けとめている。この不思議な光景をマラケシュから見ることは、次の冬の到来までもう無い。photo&text 藤田麻里上写真:雪が溶けると夏登山の季節、ツブカル山が待っている!!
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