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取材撮影コーディネート


ベルベル本革バッグ
価格/Sサイズ350DH
(4500円)
Mサイズ500DH
(6500円)
カサブランカ空港内、出国ロビー左50M
日本人デザイナーが企画製作したオリジナル商品/高品質伝統品/アンチック/トアレグ銀細工/革バック/ベルベルキリム、絨毯各種/バッブーシュ/寄木細工/民族衣装他豊富

Produced by MARI FUJITA

水売りおじさんを探せ!

マラケシュの、ジャマ・エル・フナ広場に着くと、お鈴を鳴らしながらどこからともなく近づいてくる派手な男。真っ赤な衣装に、水を入れたヤギの革かばん、極めつけは、色とりどりの毛糸のポンポンを咲かせた麦藁帽子・・・。広場だけでも20人位は居るだろうか、観光客には「水?フォト?マルハバン(ようこそ)!」と「ワン・ダラー」、ほぼこの4語しか話さない彼らの職業は、「歩く水売り」である。
古びたヤギの革かばんから真鍮のお碗にに注がれる水は、キャラバン(隊商)が往来したオアシス都市の歴史を語って余りあるが、しかし、ミネラルウォーターが手軽に買えてしまうこのご時世、外国人観光客にとっては、はっきり言って「どうしても飲みたい!」と思わせる代物でもない。
それでも、ニコニコと近づいてくるおじさんの「マルハバン!(ようこそ!)」と言う素朴な笑顔と突拍子もない衣装は、着いたばかりの旅行者達を少なからず和ませてくれる。モロッコ人にとってすら、フナ広場で水売りおじさんと記念撮影する事は旅の思い出にもなって、現在はどちらかと言えば、こちらの方が主な仕事のように見える。
それにしても、この隠れようもない派手な衣装では、そうそう気ままな行動もとれまい。そういえば、メディナ内で通勤途中の足早な水売りおじさんも見かけないし、キツイ仕事の割にはカフェでお茶休憩などするおじさんも見たことがない。まるで降って湧いたように、フナ広場にその正装とニコニコ顔で、いつもいるのである。
今回、我々が探しているのは、そんな水売りおじさんの「素顔」である。

ツーリストたちのお昼時、同時にフナ広場も給食時間の校庭のようにひっそりする。水売りおじさんの姿もまばら、彼らはしかし、ある一角へと吸い寄せられるように消えていく。
それは、最近できたお洒落なイタリアン・カフェ「アルハンブラ」の裏手の、オリーブのスークのその又裏手にあった。「マ・カファ」(アラビア語でカフェ)とだけ書かれたシンプルな看板。その下にある小さな入り口に、真っ赤な衣装の裾が次々と消えてゆく。私もおじさんの後を追って狭い階段を登る。
2階に上がって、目の前に広がっていたのは、かのおじさん達の、まさに素の姿だった。
水の革かばんを傍らに置いて、うたた寝するおじさん、ミントティーをすするおじさん、足を広々と伸ばしてアクビするおじさん・・・。みんな、赤い衣装を着ている。
テーブルや椅子などは無く、広いスペースに大きなござが敷き詰めてあって、マラケシュ・カラーのピンクの壁に、例のポンポン帽子が、大事そうに並べてたくさん掛けてある。ここは、水売りおじさん専用のカフェだったのだ。おじさん達は、ここで着替えを済ませ仕事に出掛ける。地方から来ている人も多くて、奥には寝泊りできる部屋もあるという。
グルバ(ヤギの革)を、水が漏れないようにかばんに仕立てる職人や帽子にポンポンをつける専門の職人も居て、水売りおじさんの注文を聞きながらその場で仕事をしている。まるで、一つのチームなのである。不意の東洋人の来客に動じることも無く、見ると水売りおじさん達は、やはり「マルハバン」顔。

「水売り」という職種の存在は歴史的に長く、サアード朝の頃の文献にも残っているのだとか。昔むかし、お金持ちの家には勿論井戸もあったが、こういった「水売り」を邸内にわざわざ出入りさせる事が、豊かさの象徴として当時の上流社会の流行だったこともあるらしい。その名残からか、今でも伝統的な大きな結婚式などには、招待客に水を注ぐ役目に、仕事のお呼びが掛かるという。派手な衣装も、豊かさを演出するための象徴だったのだ。

写真:アラビア語で水売りおじさんを「グラーブ」という。「グルバ」(ヤギ革)が転じたもので「ヤギの革かばんを持つ人」という意。中央左が帽子職人。ピンクの壁にはポンポン帽子、なぜかラブリーな空間。

「疲れるかって?疲れるよ、でもそれが仕事だからね。水は重いよ、衣装や真鍮のお碗、合わせて20キロ近くあるかな。子供?勿論いるよ。孫もいるよ。うちの田舎には、牛も馬も鶏もいて・・・(話が長いので省略)」 おじさん達は、帽子を取っても「マルハバン」精神に満ちた、素朴な人達だった。
水を運ぶ人、豊かさを運ぶ人。オアシス都市・マラケシュならではの特別な職業。彼らの満面の笑顔が、今もそのどちらをも運んでいる。
text&photo 藤田麻里

砂漠の入り口、マラケシュでは
「水」は貴重なもの。
水を携えていざ出勤!!



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