古代ローマ都市・ボルビリス
世界の西の果て北アフリカのモロッコに、ローマ時代の古代都市遺跡があると知って驚いた。あたり一面緑あざやかなオリーブ畑が広がり、およそアフリカらしからぬたたずまいの中にそれは建っていた。
紀元前四十五年にこの地に侵入して来たローマ人達は、当時この地に治めていた先住民族ベルベル族を追い払い都市建設に着手した。
海に近くて肥沃な土地が広がるボルビリスは、農業を中心にして急速に発展し、全盛をきわめた。他の古代ローマ都市同様ボルビリスにも、立派な石の凱旋門や、神殿、浴場などの公共施設が建てられ、今に名残りをとどめている。中でも、目を見張るのは、貴族達の邸宅に残るモザイク模様の床や壁だ。動物や、海の魚、タコなどを描いた図柄が所狭しと書き残され、当時の生活習慣を知る上で非常に興味深い。
ローマ帝国の支配は結局、長く続かず、ボルビリスの繁栄も三百年たらずで幕が降りることとなった。その後八世紀のアラブ人侵入までこの地は、ひっそりとオリーブの林の中で忘れられていたという。幾多の民族が興亡をくり返し滅んでいったが、遺跡は二千年の歳月を経て生き残ったのである。
「中央公諭・1989・7月号」より
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Text & Photo by T.MURAKAWA
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