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取材撮影コーディネート

カサブランカ空港内、出国ロビー左50M
日本人デザイナーが企画製作したオリジナル商品/高品質伝統品/アンチック/トアレグ銀細工/革バック/ベルベルキリム、絨毯各種/バッブーシュ/寄木細工/民族衣装他豊富
フェズの庶民たち6

フェズの庶民たち6
国境を越える女 −運び屋ハキマ−

ハキマの故郷はフェズの北方、数十キロメ−トルにある農村で、幼いころ、親戚の住むこの旧市街によく連れられてやって来た。娯楽も映画館もない寒村から来ると、フェズはまるで大都会。見るもの聞くものすべてが楽しくて、幼心にいつの日かメディナに住めればいいのにと思ったという。いま、ハキマは親元を離れ、貧しい人々が間借りをする旧市街の一角で、仕事仲間と一緒に住んでいる。職業を聞いて驚いた。スペインとモロッコの国境を股にかけて、闇で物をさばく運び屋だそうだ。モロッコ領内には二つのスペイン領があるが、アルジェリア国境よりの北部地中海沿いに、メリーリアという名のスペイン領土があり、その国境が彼女の商売の舞台となる。深夜フェズを出て,ふたたびフェズに帰るまで、全行程二泊三日あまりの旅である。日本とちがい、密出国といってもいい加減なもので、国境警備隊の兵士も小遣い稼ぎのために、見て見ぬ振りをし私腹を肥やすのに忙しい。メリーリアでは、スペイン本土からの洗練された高級女性用衣料が大量に出回り、価格も安いので買えるだけ買って、もと来た道を戻る。往きと違うのは、背中に背負った山ほどの荷物。国境の兵士がこれを見逃すはずがない。往きの賄賂の数倍を要求してくる。ときには買い込んだ荷物の一部や、身体まで要求してくるから命がけだ。モロッコ領内に帰り着いたころには相当の出費で、疲れは頂点に達する。その後、休むことなく、今度は首都ラバトに向け、夜行バスに乗り込む。うつらうつらしていると突然、バスはいつもの場所で止められる。ナド−ルの町の出口でおこなわれている検問だ。密輸品の摘発や麻薬、最近では政情の不安定なアルジェリアからの不穏分子や銃刀類の流入に神経を尖らせているのだ。ハキマと同業の女たちは最後に残ったわずかな金を持ち寄り、暗闇のなかで警察官たちに握らせる。バスは走り出した。ラバトには朝10時頃到着。さすが首都だけあって、落ち着いた美しい町だ。王宮や行政官庁が立ち並び、いわば役人公務員の多い町だが、運び屋たちが苦労して持ってきた高級衣料の需要は多い。持ち込んだ衣料を馴染みの業者に買ってもらう。二泊三日の命がけの商売、スペインとモロッコを股にかけた運び屋ハキマの報酬は、わずか1000ディルハム(日本円で一万二千円)!!週1日を旧市街の自分の部屋でゆっくり過し,翌日の夜には、ふたたび国境行きのバスに乗り込む。

写真・文・村川敏弘

「モロッコの迷宮都市フェス」

シリーズ「フェスの庶民たち」は、平凡社刊「モロッコの迷宮都市フェズ」に収録されており、弊社代表 村川がコラムとして執筆と写真撮影を担当致しました。
新しい都市生態学の構想として、神秘のヴェールに包まれたイスラムの古都を読み解いた一冊。
異国情緒あふれる都市フェスの姿が、市民たちへのインタビューを通して、いきいきと描かれています。
イスラームの宗教施設内部や巡礼風景などの貴重な写真を多数収録。
発行/平凡社  著者/米山俊直  写真・コラム/村川敏弘  価格/2500円



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