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取材撮影コーディネート

カサブランカ空港内、出国ロビー左50M
日本人デザイナーが企画製作したオリジナル商品/高品質伝統品/アンチック/トアレグ銀細工/革バック/ベルベルキリム、絨毯各種/バッブーシュ/寄木細工/民族衣装他豊富
フェズの庶民たち5

フェズの庶民たち5
心やさしき苦労人 −タジ・アズデン−


1年に一度の犠牲祭(イスラ−ム教徒にとっては最大の宗教行事の1つ)の日、タジの経営するカ−ペット屋の前の路地は、約1キロメートルにわたって貧しい人々の群れで行列ができる。縁起のよいこの日に、サダカ(富のある人が貧しい人に施しをする習わし)を期待する人々が旧市街の内外からやって来る。いまでこそ金持ちの部類に入る地位を築いたタジではあるが、彼の幼少期は極貧のなかにあったという。病弱だった両親の代わりに家計を助けるため、八歳のときから、旧市街のなかで荷物担ぎの仕事をはじめた。世界一複雑な迷路として名高いフェズの旧市街メディナでは、ときとしてロバや馬を使うより人間が物を担いで歩く方が便利だし、さらに階段や段差のはげしい路地などの移動には、身軽な少年の方が力を発揮する。身体だけが資本の担ぎ屋稼業は、金のないタジでもすぐ仕事にありつけた。市場はメディナの入口にあるので、そこで待っていると買い物をすませた年寄りが、買ったばかりの生きたニワトリを家まで運ぶ仕事を依頼をしたりした。ほかにも、家具や家財道具の運搬、変わったところでは、病人の担ぎ屋など、仕事はいくらでもあった。とにかく家族を食わせるために、死にもの狂いで働いたという。毎日メディナのなかを歩き回っていた1975年当時、モロッコが観光地として脚光を浴び、この迷路にも観光客が押し寄せ、はじめはもぐりの少年ガイドとして客を案内し、チップや土産物屋の親父からコミッションをもらいながら生計を立てていたが、英語やフランス語の上達とともに正式なナショナルガイドとなり、生活もどんどん向上していった。生き馬の目を抜く「アラブ人ガイド」のなかにあって、タジの誠実な仕事ぶりに対する評価は上がり、やがてガイド業から脱却、そしてカ−ペット屋、レストラン、プチホテルの経営と順調に成功を収め、現在に至っている。かつて貧困の真っ只中にいたタジはいま、貧困のなかにいる人々にやさしい。

写真・文・村川敏弘

「モロッコの迷宮都市フェス」

シリーズ「フェスの庶民たち」は、平凡社刊「モロッコの迷宮都市フェズ」に収録されており、弊社代表 村川がコラムとして、執筆と写真撮影を担当致しました。
新しい都市生態学の構想として、神秘のヴェールに包まれたイスラムの古都を読み解いた一冊。
異国情緒あふれる都市フェスの姿が、市民たちへのインタビューを通して、いきいきと描かれています。
イスラームの宗教施設内部や巡礼風景などの貴重な写真を多数収録。
発行/平凡社  著者/米山俊直  写真・コラム/村川敏弘  価格/2500円



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