アトラス山系奥地 恐竜の足跡化石探索行
兵どもが夢の後・・・モロッコのジェラシックパークを行く
モロッコのアトラス山脈奥深く、その規模と量において世界有数の恐竜化石発掘地帯が散らばるように在ると言う話は20年来風の便りで聞いていました。何時か行かなくては・・・との思いでついに決断、愛車パジェロにてカサブランカを朝6時に出発。市街を抜け郊外に出るとそれはそれは美しい丘陵地帯が続きます。4年程前だったか、パリ〜ダカのレース一行がこの辺りを通過するのを観戦した事を思い出します。タンジールからカサブランカ近郊を通過した時でしたが、篠塚選手は先頭から2番目をキープして、目の前を爆走・・・アッと言う間に地平線の彼方へと消えていきました。その後も延々と二輪四輪車が続き、次から次へと爆音は絶え間なく、そのスピードの速さは正気には見えません。常識を超え、悪路も砂漠もただアクセル全開で終着点を目指して走る快感はやがて恍惚状態に達し非現実の世界を漂い、ひょっとして死をも恐れぬ精神状態に多くの選手は入り込むのでは・・・などと考えながら気が付くと、私も結構なスピードで飛ばしている。慌ててスピードを緩め、気を引き締める。といってもこのパジェロ、92年製の代物でスピードはそんなに出ないので安心だが。さてカサブランカより60km南下するとセタッツの町に入る。農業以外別段産業のない町ではあるが、美しい町並みを見て驚いてしまう。なんでも長らく内務大臣を務めた政府の大物の出身地とかでその恩恵が町の隅々にうかがえる。この町の外れのいわゆる旧市街の一角に薄汚い店構えだが炭火焼の串焼きカバブーの絶品の店があり、ひいきにしている。ミント茶を飲みながらたらふく頂く。適度な休憩の後、再びハンドルを握りマラケシュ方面に向け南下。周りの景色は徐々に緑から赤茶けた大地の色に変わり、内陸部の厳しい自然が想像される。カサブランカを出て4時間(200km)ついにオアシスの赤い町マラケシュに到着。ガソリンを満タンにする。1リットル8DH、日本円で110円前後、物価からすると高い。誰もが車を持てる国ではない。市街地を通り市内の目抜き通りにある弊社マラケシュ支社に車を横づける。青い空と極彩色の熱帯系花々が咲き乱れる美しい光景にしばし見とれる。 上写真:銀杏型の恐竜足跡化石(イミンイフリ)
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恐竜化石探検の基地 (D.村) |
銀杏型の恐竜足跡化石 (I.村) |
高アトラス山中を行く (I・B村) |
軽い昼食の後、アトラス山系の懐をDの町に向け、ハンドルを握る。標高4千Mを越す山々を右手に見ながらパジェロは快走してくれる。D.村までは全面舗装路で130km、約1.5時間の距離。長閑な田舎の丘陵地帯が続く。やがて大地の色は赤土に変わり、アトラスの山々からは遠ざかりDの村に到着。小さな村を囲むように古いカスバの城壁が続きその前で特産の陶器が売られている。カスバの傍にある茶店でミント入りのお茶とスープを頂く。お茶は5DH(60円)、スープは4DHと安い。一服してからいよいよ恐竜の足跡化石産出地を目指してアクセルを吹かす。舗装されているが比較的細い道を高アトラス方面に向け南下、30分程走ったであろうか、集落が見える。I・Iの村だ。目の前に盆地上の大地が広がる。あっという間に地元の子供達に囲まれやんや大騒ぎ。弊社社員のブラヒムはベルベル族なので言葉が通じる。恐竜の足跡は一体どこにあるのかと聞くと、その台地の至る所に無数にあるとの答えが返ってきた。案内をかって出た男の子の後についていくと長さ60CM程の穴ぼこを指してこれだという。一見沼地の泥の中が凹んだ穴にしか見えないがよく目を凝らしてみると成程恐竜の足跡に違いないことが判ってくるから不思議だ。足跡が何歩か連続していたり、同じ形の足跡があったりする。総数3千個以上あるそうで私が数えただけでも200個余り。暑さもあり2時間も地面ばかり見ていると疲労が重なりもうどうでも良くなる。ただひとつ気がかりなのは足跡化石が刻み込まれている地表は泥が干上がった地面であり、風化破損が激しく、また住民にとっても特別重要な物という意味はないので下手をすると、かなりの足跡は今後姿を留めないであろうと言うこと。歴史的にも学術的にも貴重な遺産であるのに必要な措置が取られるべきであろうと思う。
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アトラス山中に突然現れた美しい村 (I・B村) |
大きな恐竜の足跡 (I・I村) |
高アトラスの大渓谷 (I・B村) |
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鳥類恐竜の見事な足跡 (I・B村) |
道路工事中の地元民 (I・B村) |
民家前の岩盤に続く恐竜の足跡 (I・B村) |
ふと気が付くと日が陰り西日が沈む前のエネルギーを燃焼させるべく強烈に命を輝かせている。本日はこれが引き揚げ時とばかりに元来た道をD.村へ戻り、簡素な地元ホテルに泊まることとなる。疲れていたが横になっても暫くは私の頭の中で無数の恐竜達がところ狭しと大暴れしていました。翌日、疲労と寝不足ではあったが、昨日行ったI・I村からさらに奥地のI・B村の集落には鳥類の恐竜足跡化石があるというので行くことにする。距離もイフリンから25KMと近いので鼻唄交じりで出かけるが、これがとんでもない誤算。それはそれは恐ろしい太古への旅立ちとなる。完全未舗装路の山道や尾根のような斜面がこれでもかこれでもかと延々と続き、身体も首も大揺れ状態。雨でも降れば谷底へ真っ逆さまな冷や冷やルート。それでも恐竜足跡化石を見たいという欲望と好奇心はやはり抑え切れるものではない。車体の軽い愛車パジェロは文句も言わず跳ねながら力強く走ってくれる。D村から約2、5時間掛かってついにI・B村の集落に到着。茶店も食堂もないので休憩もままならず、村外れの道路沿いに有るという足跡化石の現場へ向かう。高さ2M、長さ30M余りある壁をよく見るとあったあった、見事な鳥竜の足跡が連続して4〜5個確認。この岩盤は固いのでそう簡単に崩れることはあるまい。ちょっと飛んで数個さらに確認。捜せば村の周辺至る所に足跡はあるはずだが無理に暴くようなことは止めるに越したことはない。太陽は頭上高くに昇り、喉は乾くし腹は減る。この先アトラスの山奥深くI・Bの村には更に多くの足跡化石が発見されており、何としてでも行きたいところではあるが、道の険しさはもっと厳しいというので、今回は打ち止め。元来た道を引き返しデムナット経由マラケシュへ。夕暮れの古都マラケシュに着いたのは午後7時、恐竜の山から中世イスラムの都への時間を超えたタイムスリップの旅。大道芸人の集うフナ広場にぽっかり開いた異次元のトンネルを通ってジェラシックパークへ・・・。恐竜王国モロッコへようこそ。
Text & Photo by T.MURAKAWA
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アルジェリアとの国境沿い、 三葉虫の化石を見つけた少年 (ウジナ砂丘) |
巻貝やアンモナイト化石の岩盤が 露出している (メルズーガ砂丘付近) |
巻貝の化石売り (メルズーガ砂丘) |
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