北モロッコの秘境ジャジュウカ村に伝わる神秘のサウンドに魅せられたローリングストーンズのブライアンジョーンズの足跡を辿り旅をした神戸在住の山口陽子さんのモロッコ滞在記が届きました。ご紹介したいと思います。
『ザ パイプス オブ パン アット ジャジューカ』これは、ローリング ストーンズにいたブライアン・ジョーンズが、亡くなる前にプロデュースしたモロッコの呪術音楽です。(左写真:聖地イドリス祭)
透明でピーンと張った空気のなかでの聴き慣れない楽器、遠吠えする犬、手拍子、話声などからなるこの怪し気なジャジューカの音楽を聴いてから、どんな所なのか行ってみたいと、ずっと、ずっと思っていました。でも、それがモロッコのどこにあるのかさえ分らず、行きたいという思いだけで何年もが過ぎていました。
今回もまた、行けるわけないと思いながらネットで検索し、引っ掛かったキャラバン・ボヤージュにメールを送ると7年前に行った事があると言う返事が返ってきたのでびっくり仰天。えっ!ほんと?間違い?落ち着かない気持ちで、モロッコにある会社へ確認の電話をいれたところ、本当に知っているらしく泣けてきた。以前歌手の宇崎竜堂、阿木曜子夫妻が出演するドキュメンタリー番組制作の際にリサーチしていたとか・・。
場所がわかり、行けるとなると、とにかく行きたい。早く行かないと、ジャジューカという場所が無くなってしまうような気さえする。そんなわけで、とっとと出かけました。
カサブランカから、キャラバン・ボヤージュの頑丈そうなドライバーのアジズさんとふたり、目指すはタンジール。何がなんでも泊まってみたかったホテルミンザで1泊。ブライアンもこのホテルに泊まったんだーと、ブライアンファンのわたしは感激で一杯。
翌朝車はジャジューカを目指し、走る走る。わたしの想像でのジャジューカは緑の深い山奥の村でしたが、実際はでっかいサボテンの生えている細い坂道を登った、ピーカンに日当たりが良く埃っぽい丘の上でした。その丘のてっぺんに一件の家があったのですが、我が愛するドライバーさんは車を降りて、いきなりその家の門をドンドンとノックしたのでびっくり。(上写真:ミック?)
アラビア語のアジズさんと日本語のわたしの成立しにくい会話からは、何がどうなっているのかは理解できないけど、そこがグループ名でもあるジャジューカのリーダーの家である事は何となく分る。それにしても、この国ではいきなりの訪問はあり?
(左写真:まるでメキシコの寒村のようなジャジューカの午後)
ドアがあく事を祈るべきか、あかない事を祈るべきかと思うや否やドアはあき、知らない人たち数人に出迎えられ、お茶をだされ、何がなんだかさっぱり分らず、10分程が経過したころ、出た!ジャージューカのリーダーであるバシール・アッタールがニコニコしながらやって来た。この国では「あり」らしい。とにかくわたしは、頭のてっぺんからつま先まですごく嬉しい。バシール師匠は英語が話せるので、音楽の話しや近々日本でも上映されるジャジューカの映画の話しなどをしたり、ミック・ジャガーやオーネット・コールマンなどミュージシャンの生写真をみせてもらったりと、本当にこの上ない至福のひととき、やわらかな時間でした。
気持ちが豊かになっているためか、次に行ったフェズでは山のようにお土産を買い、世界で一番広い砂漠、サハラを目指しました。早朝より四駆に乗り換え、地平線まで星が瞬くオフロードを突っ走る。どちらが西でどちらが東なのか、わたしにはさっぱ
りわからない暗闇を車は軽快に走る。とにかくこれがまた気持ちいい。1時間ほど車は走り、へたりこんでいるラクダ隊にでくわし、車を降りる。わたしを見て怪しくニタッと笑うラクダを選び、そこからは、朝日の良く見える小高いところまでラクダで(上写真:同行してくれた運転手アジズ)
前進。少しずつ明るくなり、サハラ砂漠の広大な眺めが浮き上がって来る。砂山と砂山の重なりの隙間から見え始める太陽のはしっこの美しい事。それは、本当に来て良かったと思える瞬間でした。
予定以上に夢がかなった今回の旅行は、大胆なアジズのお陰?シュクラン!そして、モロッコ中を知り尽くしたキャラバン・ボヤージュありがとう!「何か良い事が、あなたにも起る」これが、ジャジューカの意味らしいです。(文:山口陽子)