朝日サンツアーズ有楽町旅行センターの機関誌”旅なかま”紙上で弊社村川のモロッコ写真特集が紹介されております。
是非ご覧下さい。
モロッコに魅せられて
スペイン、イベリア半島南端から見たアフリカ大陸(モロッコ)は、波間に浅黒く不気味に輝いていた。今から25年余り昔の情景なのに忘れることの無い、僕の人生の劇的なる瞬間。
キリスト教世界からイスラム世界へ。海峡を越え船はアフリカの角、港町タンジールへ入港。小高い丘一面に白壁の旧市街が続き、モスクのミナレットがその顔を覗かせる。アラブ商人や黒人達の熱気が、巷に流れるコーランの響きと混ざり合い狭い路地を吹き抜ける・・・。
モロッコ最古の都、フェズの旧市街は世界一の迷路都市。城壁の中は中世そのままに生き残り、迷路が果てしなく続くアラビアン・ワールド。
人一人がやっと通れる袋小路の一角でベールを覆った女性とすれ違う。ふと振り返るとその姿は路地に消えてしまっていた。現在を旅する自分がいつしか、中世の時代に迷い込み、何百年も昔に「在った」一瞬の光景に遭遇しているのではないかと思う程の強烈な印象を放つ石畳の旧市街をさ迷う。
なつめやしに囲まれたオアシスの中に建つマラケシュの旧市街は町全体が赤い色で統一された、愛らしい古都。町のど真ん中には高さ67メートルのクトゥビアの塔が聳える。夕刻と共に人々は塔の傍を通り大道芸人で有名なフナ広場を目指す。猿回し、火吹き男、説法師、占い女、蛇使い等が競演する世界最大の野外劇場の始まり。強烈な西日の光の中で怒号と歓声が屋台の煙と重なり天に舞い上がる頃、劇は最高潮に達する。
黄昏時、古い馬車に身を任せ旧市街の雑踏を巡るミステリアスな旅。
熱帯性植物の咲き乱れるマラケシュの町の背後に聳える4000メートル峰の山々、大アトラス山系を越えるとそこは茶褐色の大地が続くカスバ世界。大渓谷の裾野に広がるカスバ城の雄大な景色と、美しいベルベル族の女達が暮らす村落を抜け、やがてアルジェリアと国境を接する砂だらけの世界に到達。サハラ砂漠だ。前線の町エルフードからジープに乗って1時間。モロッコで最も大きく美しいと称されるメルズーガ大砂丘。
一度この砂漠を見た人は必ずもう一度戻ってくるという言い伝えがこの地方にはある。その格言の如く、砂漠の虜になった僕は今もモロッコの大地をさ迷い歩く旅人なのだろう・・・。
Text & Photo by T.MURAKAWA